
「1型糖尿病って何?」、「1型糖尿病と宣告されて、不安でいっぱい・・・」
そんな思いで、この記事にたどり着かれたのではないでしょうか?
実際、1型糖尿病って検索すると、色んなサイトであることないことメッチャ書かれてます。(合併症が出やすいとか短命とか・・・しっかり治療したらそんなこと無いんですけどね)
なので、基本的には「日本IDDMネットワーク」などの公式情報を信じることをオススメしますが、病気の公式サイトって取っ付きにくかったりしますよね。
この記事では、『初めて1型糖尿病を知った』という方向けに、1型糖尿病の原因と治療法について必要な知識をまとめてあります。
1型糖尿病になじみの無い方にも、1型糖尿病に対してポジティブなイメージを持っていただけると嬉しいです。
- 目次 -
1.1型糖尿病とは

1-1.1型糖尿病の原因は?
糖尿病=生活習慣病のイメージが強いと思いますが、
1型糖尿病は、生活習慣病ではありません。
1型糖尿病は、すい臓のβ細胞(ベータ細胞:血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンを分泌する細胞)がウイルス感染など何らかの原因により破壊されてしまい、インスリンを出すことができなるなるために発症します。
1型糖尿病になってしまうと、膵臓からインスリンが出ないため、食べ物から吸収した糖をエネルギーとして使うことができなくなり高血糖となります。
異常な高血糖を放っておくと、合併症の発生や最悪死に至ることがあるので、インスリンを外から注射しなければなりません。
このように、1型糖尿病は、世間一般でよく知られる生活習慣病からくる糖尿病(2型糖尿病といいます)とは全く違うことがおわかりいただけたと思います。
子供が1型糖尿病になると、『母親の食事のせいだ』って言って家族が母親を責めるという話が本当によくあるんです・・・残念ながら。
理解していただきたいのは、1型糖尿病を発症してしまったのは『誰のせいでも無い』ということです。
1-2.子供が1型糖尿病を発症する確率は?

1型糖尿病の患者数は、糖尿病患者全体でみるととても少ないと言われています。
実際、日本での1型糖尿病の年間発症率はどれくらいなんでしょうか?
2003年の国際糖尿病連合による0歳から14歳までの調査では、1型糖尿病の年間発症率が『10万人あたり、1~2人(0.001~0.002%)』と言われています。
世界で最も多い発症率のフィンランドでは10万人あたり、37~38人(0.037~0.038%)だそうです。
これは多いのか、少ないのか?
子供で比較的メジャーな病気である、食物アレルギーを例にして比較してみましょう。
食物アレルギー診療ガイドライン2012によると、食物アレルギー有病率が、乳児で約5~10%、幼児で約5%、学童期以降が1.5~3%、とあります。
発症率と有病率なので単純比較はできませんが、食物アレルギーの子が学校のクラスに1~2人程度いるかんじで、1型糖尿病の子は市町村に1〜2人といったイメージです。
やはり、1型糖尿病の罹患率は少ないですね~。
1-3.1型糖尿病は一生治らないの?

現在の医学では完治しない病気です。でも、近い将来治る病気になる可能性はあります。
実は、現在の治療薬でもあるインスリンが発見され、治療として使われるようになってから100年程度しか経っていません。それ以前はやせ細って、確実に死に至る病気でした。
しかし、医学の進歩で死ぬような病気ではなくなりました。
今では持続時間の異なる様々なインスリン、細い針、小型の血糖測定器などが開発され、健常人と何ら変わらない生活をおくることができるようになっています。
もちろん、
インスリンを欠かさずしっかり治療すれば、
成長に問題がでることもありませんし、
結婚や妊娠・出産もできます。(これめちゃ大事、誤解されやすい)
1型糖尿病をもちながら、プロスポーツ界で目覚ましい活躍をしている選手もいますよ。
2.1型糖尿病の治療方法

1型糖尿病患者は、毎日のインスリン注射が欠かせません。
これは現在の医療で紛れもない現実です。
この現実から、我々患者は逃げることができません。
しかし!
最近では色々な機器でのインスリン注入方法が確立してきたので、ライフスタイルに合ったものを選ぶことができるようになりました。
そのインスリン注射の最新治療をご紹介します。
2-1.ペン型インスリン

ペン型インスリンは、現在最も使用者が多いと思われるインスリン製剤です。
1本に300単位(一部450単位のものもあり)のインスリンが入っており、必要単位を自己注射します。
メリット
使い捨てなので器具が衛生的かつ、万が一壊れたらすぐ予備の新しいものにすぐ取り替えられることです。
一本あたりの薬価は1528〜3102円(3割負担で約510〜1034円の支払い)かかります。
デメリット
注射単位が最小で1単位なので、幼児など体が小さく少ないインスリン量で済む人や、細かくインスリン量を調節したい人には少し不満が残る場合があることでしょうか。
しかしながら、最も一般的で使いやすく工夫されているデバイスであることは間違いありません。
2-2.カートリッジ型インスリン


使い捨てではないペン型の器具(画像上、赤や青のペン型のもの)の中に挿入して使う、カートリッジ型のインスリン製剤(画像上、オレンジ色のもの)です。
メリット
器具によっては0.5単位から注射可能なため細かくインスリン調節ができること、ペン型インスリン(使い捨て)に比べて安価であることです。
その薬価ですが、一本あたり980〜1859円(3割負担で約327〜620円の支払い)です。
デメリット
ペン型の器具が使い捨てではないため、万が一壊れた場合は同じものを医療機関で入手しなければならないことでしょうか。
欧米ではこちらのほうがシェアが高いところもあるみたいです。
2-3.インスリンポンプ

インスリンを予め機械(インスリンポンプ)に注入しておき、そのインスリンポンプがインスリンの注入を半自動的に行なってくれます。
メリット
患者個々に合わせたインスリン注入プログラムを組むことができるためより細かい血糖コントロールが可能になります。
ポンプは、常に体につけているため毎回のインスリン注射が不要になります。
デメリット
ポンプからインスリンを送るためのチューブが詰まる場合があったり、数日に1回(基本的には3日に1回)チューブやインスリンの交換が必要になります。
また、ポンプは耐水性ではないので、お風呂など水に濡れる場面ではポンプを外す必要があります。
インスリンポンプの治療費は、ペン型やカートリッジ型に比べて高額で、おおよそ診察料金など含めた1ヶ月の支払い総額が2~3万円になります(ペン型だと1ヶ月の総額1~2万円程度)。
3.まとめ
いかがでしたか?
1型糖尿病の治療は日々進歩しており、しっかり治療に取り組めば何も日常生活を制限されることもありません。
そして、インスリンの種類・治療法の選択肢も広がってきており、自分のライフスタイルに合わせてそれぞれに合った治療法を選ぶことが大切です!
*本記事の画像では、便宜上一部の製剤のみ使用していますが、特定の薬剤・器具および企業を宣伝したり否定したりする意図はありません。
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