
長期休暇がとれたら、あなたなら何をしますか?
僕なら、やっぱり『海外旅行に行きたい!』ですね~。
でも、1型糖尿病の生活では『インスリンも一緒に』持っていくことが必須です。
国内ならいざ知らず、海外となると、『インスリンの飛行機内への持ち込み』や『海外旅行でのインスリン取り扱いの注意点』などが気になりますよね。
この記事では、そんな1型糖尿病患者ならではの、海外旅行のインスリンにまつわる疑問を解決します。
- 目次 -
1.飛行機へのインスリン持ち込みについて

最近、飛行機への液体の制限が厳しくなっているし、「インスリン持ち込みって大丈夫なの?」と、不安になる人もいると思います。飛行機でのインスリンの取り扱いは、実際のところどうなっているんでしょうか?
1-1.機内への液体持ち込み制限
100mLを超える液体は、機内持ち込みが禁止されています。
これは、国際民間航空機関(ICAO)から各締約国に対して通知された「液体物の機内持込制限に関するガイドライン」に基づき、2007年3月1日から国際線に適用されています。
持ち込み制限のルール
100mlを超える、あらゆる液体物の客室内への持ち込みは禁止(ただし、以下の物品の持ち込みは可能)
- 100ml以下の容器に入った液体物(但し、ライター用充填ガス等の機内持ち込み禁止品は除く)で、容量1リットル以下のジッパーのついた再封可能な透明プラスチック製袋に余裕をもって入れられている場合
- 医薬品、ベビーミルク/ベビーフード、特別な制限食

国土交通省のWebサイトに詳しい一覧表が載っていたので、液体物の規制についてもっと知りたい方は以下を確認してください。
国土交通省: 『国際線の航空機客室内への液体物持込制限について( 量的制限の対象物となる液体物のリスト )』
1-2.インスリンの機内持ち込みはOK?
先ほどの『機内持ち込みのルール』にも書いたとおり、『医薬品、ベビーミルク/ベビーフード、特別な制限食』は持ち込み可能です。
なので、インスリンの飛行機内へ持ち込みは、全く問題ありません。
堂々と機内に持ち込みましょう。もちろん、インスリン注射も機内でできます。
しかし、保安検査場で係員に説明を求められる場合があるかもしれません。
そんなときは「インスリンという薬剤で、治療のために機内持ち込みが必要」と説明すれば大丈夫です。
「英語が不安・・・」という人は、日本糖尿病協会が発行している『英文カード(Diabetic Data Book)』を持って行きましょう。カードの内容は、主治医に書いてもらう必要があります。

英文カード(Diabetic Data Book)
さらに、航空会社へあらかじめインスリン注射をしていることを伝えておくと搭乗をスムーズに済ませることができます。
航空会社によっては『インスリン製剤の中身を英文で書いたものがほしい』と言われる場合があります。これは義務ではありませんが、海外旅行では英文の診断書等があると万が一の時に安心です。
僕は、英文の診断書を主治医に書いてもらって、海外にはいつも持っていきますよ。
1-3.インスリン注射の針はどうする?
インスリンの針も機内持ち込み、使用ができます。
保安検査場で係員に説明を求められた場合、「インスリン注射のために使用する針である」ことを伝えましょう。
ちなみに僕は昔、「機内に持ち込める針は1本まで」って係員に言われたことがあります(いやいや、針が折れちゃったりしたらどうするの?)。
でも、ちゃんと話をしたら何本も持ち込めたので大丈夫でした。
もちろん、使用した針は機内(化粧室やポケットボックスなど)に捨てず、各自持ち帰りましょうね。
1-4.インスリンポンプはどうする?

インスリンポンプもそのまま問題なく持ち込めるんでしょうか?
インスリンポンプを使っている人で、金属探知機でセキュリティチェックを行う場合は、装着したまま保安検査場を通過できます。
しかし、「X線」や「ボディスキャナー」による検査の際には注意が必要です。
こんなボディースキャナーは、こんな機械ですね。

「X線」や「ボディスキャナー」による検査はインスリンポンプの作動に影響する可能性があります。
これは、インスリンポンプのメーカーである日本メドトロニックのサイトに載っています。
飛行機に搭乗する際は、ご搭乗の航空会社又は保安検査場に空港セキュリティシステムについて事前に「ボディスキャナー(X線)」の検査があるかをご確認ください。
ボディスキャナー(X線)および手荷物X線検査に機器を曝露しないよう空港検査場係員へご依頼ください。
※人体セキュリティシステムにはX線ではない金属探知機とX線使用のボディスキャナーの検査種類があります。
※日本メドトロニックから発行している飛行機搭乗用「エアポート医療機器情報カード」をご持参いただき係員に見せてください。このカードには日本語と英語で「この機器を放射線(X線・MRI・CTスキャンなど)に曝露しないでください」と記載があります。(引用:日本メドトロニック)
事前に係員へ「インスリンポンプを装着していて、検査に通すことができない」と伝え、金属探知機でのチェックに切り替えてもらいましょう。
インスリンポンプメーカーの日本メドトロニックでは、「エアポート医療機器情報カード」を配布していますので、用意しておくと良いですね。

エアポート医療機器情報カードは、こちらからPDFでダウンロード出来ます。
2.海外旅行でインスリンを使う際の注意点

2-1.インスリンの予備は必ず持っていこう
インスリンは命をつなぐために欠かせないものです。
インスリンの予備はしっかり持って行きましょう。
荷物の紛失・盗難対策として1つの鞄にインスリンを入れるだけでなく、予備は他のスーツケースに入れるなど分散しておくと良いと思います。
ただし、インスリンをスーツケースに入れて預けてはいけません!
上空で0℃近くまで温度が下がることもある貨物室(最近は超低温になることは少ないようですが)では、インスリンが変質する(効果がなくなる)可能性があるので、飛行機に搭乗するときは必ず手荷物で持ち込みましょうね。
2-2. 『英文の診断書』は、緊急時に役に立つ

海外旅行の際に診断書は必ずしも必要ではありませんが、持っているとトラブルが起きた時に威力を発揮します。
例えば・・・
- 海外の旅行先で急病になり、病院に受診した
- ペン型インスリンやインスリンポンプ持ち込みの際に、診断書の提示を求められた
などのケースが考えられますね。
この時に診断書を持っていないと、 病院ですぐに対応してもらえなかったり、長時間足止めをくらったり、とーっても面倒なことになる場合があります。
2-3.携帯品チェックリストで忘れ物をチェック!

旅行のときに、「あっ、忘れ物した~!」って経験ありますよね。
インスリンなどの治療に関わるものを忘れると、大変です。
携帯品チェックリストを載せておくので、これを参考に、忘れ物の無い楽しい旅行にしてくださいね。
携帯品チェックリスト
- 常備薬(酔い止め、整腸剤、かぜ薬など)
- インスリンペン型注入器及び注射針(予備も用意する)
- 血糖測定器(電池の残量も確認する)
- アルコール綿などの消毒綿
- 使用済みの注射針、血糖測定用針を廃棄する容器
- ブドウ糖やビスケット、スナック菓子(低血糖対策)
- 血糖測定記録手帳
- 英文カード(Diabetic Data Book)
- 処方せんのコピー、薬の袋、薬の説明書
- 診断書(英文)
- 医療保険証
- 海外旅行傷害保険証書
(引用:日本イーライリリー)
チェックリストは、こちらからPDFでダウンロードできます。
3.まとめ
インスリンを使っていると、旅行ひとつとっても、分からないことや不安になることもあると思います。
でも、インスリンがあるからといって、旅行やレジャーを控えてしまうのは人生楽しくないですよね。
この記事に書いた注意点を参考にすれば、海外旅行も大丈夫です!
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