『アスピリン』ってどんな薬?使ったらダメな人・飲み合わせを徹底解説!

 

アスピリンという薬の名前は、誰でも一度は聞いたことがあると思います。

広く色々な人に使用されるアスピリンでも、使い方を間違えると副作用により危険な目にあう場合があります。そんなアスピリンについて、薬剤師がわかりやすく解説します。

 

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1.最古の痛み止め「アスピリン」

アスピリンは、製薬企業のバイエル社が初めて商品化した医薬品で、発売から100年以上経った今でも、世界中の医療機関や家庭などで広く使われています。

このアスピリンが開発されたことで、痛みや熱に悩む多くの人達が救われたという歴史があります。

しかし、広く色々な人に使用されるからこそ、アスピリンは注意するべきポイントを知らないと副作用を引き起こしてしまう可能性のある薬なんです。

 

1-1.アスピリンは解熱・消炎鎮痛剤(NSAIDs)

熱 解熱剤

アスピリンは、古くから「解熱剤」・「抗炎症剤」・「痛み止め」などに使われており、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイズ)という種類の薬です。

 

(ステロイドにも抗炎症作用があるので、それと区別をするために、NSAIDs=「非ステロイド性抗炎症薬」といわれます)

 

アスピリンなどのNSAIDsの仲間には、ロキソプロフェン(商品名:ロキソニン)やイブプロフェン(商品名:イブ)、ジクロフェナク(商品名:ボルタレン)など、一般的にもよく聞く名前の薬がたくさんありますね。

 

1-2.実は『アスピリン』と『アセチルサリチル酸』は同じ薬

ご家庭でも使用されることがある『アスピリン』ですが、実は『アセチルサリチル酸』という薬品の別名でもあります。

 

つまり、『アスピリン』=『アセチルサリチル酸』ということです。

 

例えば、ドラッグストアなどで売られている解熱剤「バファリンA」の成分には『アセチルサリチル酸』が含まれていますが、この『アセチルサリチル酸』が『アスピリン』と同じであることを知らないという人が多いですね。

 

「そんなの知らなくても良いんじゃない?」と思ったら大間違いです。

 

もし、それを知らないと、

アスピリンを飲んではいけない人や、すでにアスピリンを飲んでいる人が、痛み止めとして「バファリンA」などの『アセチルサリチル酸(=アスピリン)』を間違えて服用してしまう可能性があって、最悪のケースではアナフィラキシーショックなどによって命に関わることだってあるんです。

 

2.アスピリンの使い方(用法・用量)

アスピリンは「使う量によって、その効果が変わる」という性質がありますので、病気に合わせて決められた量を使いましょう。

 

アスピリンの主な使い方は、

  • 解熱、鎮痛、抗炎症作用の目的で使う
  • 抗血小板作用の目的で使う
  • 川崎病の治療で使う

 

この3つです。それぞれ用法用量が異なるので注意が必要です。

 

2-1.解熱・鎮痛・抗炎症作用の目的で使う

アスピリンは昔から「解熱・鎮痛・抗炎症作用」があることが知られています。アスピリンの適応として、頭痛、生理痛、関節・筋肉痛などが挙げられます。

 

用法としては、成人で1回500mg~1500mgを目安に使用します。

 

市販薬では、バファリンA、バイエルアスピリンなどにアスピリンが含まれ、痛み止めとして使われています。

医療機関では、あまりアスピリンを痛み止めや解熱剤として処方する事は少なくなりました。(詳しくは後述しますが、胃腸障害の副作用がより少ない他のNSAIDsを使うことが多いため)

 

2-2.抗血小板作用の目的で使う

アスピリンを痛み止めの用量より少ない量(低用量)で使うと、抗血小板作用が出てきます。

血小板とは、「血液の中にある、かさぶたを作る素」だと思ってもらえばわかりやすいですね。

 

つまり、『抗血小板作用』=『血を固まりにくくする作用』です。

低用量のアスピリンは、脳梗塞や心筋梗塞の再発予防、心臓カテーテル治療後、などに使われます。用量は、成人で1回100mg~300mgを目安に使います。

 

市販薬では、抗血小板作用を期待して作っているものは無いので、脳梗塞などの予防には使えませんし、出血しやすくなることも通常ありません。つまり、生理中の人が市販のアスピリンを使っても痛みが改善するだけで、血液が固まりにくくなることはありませんので、安心してください

 

医療機関では、主にバイアスピリンという薬が脳梗塞や心筋梗塞の再発予防に使われます。

 

2-3.川崎病の治療で使う

川崎病とは、「子供に発症しやすい、全身の皮疹や手足の腫れや心臓の血管奇形を起こす原因不明の病気」です。

川崎病は放っておくと、心臓の血管にコブができて、そこから出血や血栓症(血の塊で血管が詰まってしまう)などの合併症を引き起こしてしまう恐ろしい病気なので、早期のしっかりとした治療が必要となります。

 

そんな川崎病の治療薬としても、アスピリンが使われます。

使い方には、『治療初期の用量』と『合併症予防のための用量』の、2通りの用法用量があるので注意しましょう。

 

●『治療初期の用量』

治療開始の初期には、腫れや炎症を抑えるために「体重1kgあたり1日30〜50mg、1日3回」服用するように処方されます。服用期間は大体1〜2週間です。

この段階では抗炎症作用を目的に使っており、抗血小板作用はありません。

 

●『合併症予防のための用量』

川崎病の治療が進んで全身の腫れが落ち着いてきたら、次の治療として合併症の予防のための治療が始まります。

「体重1kgあたり1日4〜5kg、1日1回」服用するように処方されます。服用回数が減るので、薬を飲む負担は減りますね。しかし、服用期間は4〜8週間と結構長期間になります。また、注意する点として抗血小板作用による出血があります。

 

出血しやすくなる!と聞くと怖くなりますが、鼻血が出たら止まりにくくなる程度(しっかり押さえればちゃんと止まる)なので過度に怖がる必要はありません。

それより重要なのは、この頃には見た目には元気になってはいますが合併症のリスクは残っているので、自己判断で薬を勝手に止めないことです。

 

川崎病については、川崎病ってどんな病気?後遺症は?原因・症状・治療について解説しますを参照してください。

 

3.アスピリンの副作用

アスピリンの副作用は、「胃腸障害」「出血」「アスピリン喘息」「皮膚障害」などがあります。

副作用全ては解説しきれないので、主な4つをご紹介します。

3-1.胃腸障害

胃腸障害は、アスピリンだけでなくNSAIDs全般で起こりやすい副作用です。特に、長期間NSAIDsを服用している人に起こりやすいとされています。

この胃腸障害が起こる原因として、アスピリンなどのNSAIDsが胃の粘膜保護を担っているプロスタグランジンの合成を阻害してしまうからです。

胃腸障害を予防する方法として、「不必要なNSAIDsの長期間服用をやめる」、「胃薬を併用する」などが挙げられます。

 

3-2.出血

アスピリンの出血は、低用量で使用したときの抗血小板作用によるものです。

基本的には、アスピリン単独で大出血を起こすことはほとんどありません。鼻血が止まりにくいとか、アザができやす程度と考えて問題ないと思います。

しかし、他に抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)や、出血しやすくなる病気をかかえている人、などでは出血のリスクが高いので注意が必要です。

予防方法には根本的な対策が無く、「ケガなどに注意する」ということになります。

 

3-3.アスピリン喘息

アスピリンで喘息が引き起こされることがあり、アスピリン喘息と呼ばれます。

この副作用の名前のため、アスピリンだけで起きる喘息と思われがちですが、NSAIDs全般で起きるアレルギー症状と考えられています。

一度アスピリン喘息になった人は、アスピリンを含むNSAIDs全般を服用できないと考えたほうが良いでしょう。もし誤って服用すると、強い喘息発作(数分~数十分で息苦しさや激しい咳、呼吸困難、意識障害などの症状)が引き起こされる可能性があります。

 

3-4.皮膚障害

アスピリンを含むNSAIDs全般で、皮膚障害が知られています。皮膚障害の程度は様々で、「軽いじんましん」から「全身に火傷のように皮膚がただれ、最悪死亡するもの」まであります。

原因の1つにアレルギー症状があると考えられているので、初めてアスピリンを飲む人は十分注意が必要です。また、アスピリンでアレルギー症状が出たことのある人は勝手に服用しないようし、医療機関に相談しましょう。

 

4.アスピリンを服用したらダメな人

ダメ

アスピリン喘息などのアスピリンにアレルギー症状を持つ人はもちろん、「15歳未満のインフルエンザ・水痘の患者」や「妊娠後期の人」、「大きな手術の予定がある人」は、アスピリンを避けなければいけません。

それぞれ解説していきます。

4-1.「15歳未満のインフルエンザ・水痘の患者」→アスピリン✕

15歳未満のインフルエンザや水痘(みずぼうそう)の患者さんでは、アスピリンを服用するとライ症候群という症状を引き起こすことがあります。

ライ症候群とは、水痘やインフルエンザのあとにまれに激しい嘔吐、意識障害、血液検査値の異常を引き起こす死亡率の高い危険な症状です。

日本や欧米では、「インフルエンザの子供にアスピリンは使用しない」ことが一般常識になっています。

 

4-2.「妊娠後期の人」→アスピリン✕

妊娠後期(予定日から12週以内)の人では、アスピリンを使うことができません。

理由は、アスピリンによって妊娠期間の延長、胎児動脈管の早期閉鎖(胎児の心臓血管の一部が閉じてしまうため放っておくと心不全になる)、子宮の収縮力低下、胎児の出血、などのリスクが高くなるからです。

しかし、それ以外の妊婦では治療上必要な場合にアスピリンを使用することがあります。アスピリンを処方された妊婦さんは、自己判断で中止せず医療機関(主治医、薬剤師)に相談しましょう

 

4-3.「大きな手術の予定がある人」→アスピリン✕

大きな手術(大手術)をする人は、基本的にアスピリンを服用することができません。

理由は、アスピリンを手術1週間以内に服用していると、抗血小板作用によって手術時に大出血を起こしてしまう可能性があるからです(アスピリンは1度でも飲むと、血液を固まりにくくする効果が3~7日間続くと考えられています)。

これから手術を控えている人は、主治医や薬剤師から説明されたアスピリンの中止期間をしっかり守るようにしましょう。守らないと、せっかくの手術が延期になってしますことがあります。

 

5.アスピリンの飲み合わせ

薬

アスピリンの飲み合わせは添付文書(薬の説明書)を読むと、たくさんの薬が書いてあります。

その中でも、「抗血栓薬との飲み合わせ」NSAIDsやステロイドなどの抗炎症薬との飲み合わせ」をご紹介します。

 

5-1.「抗血栓薬との飲み合わせ」

ワーファリン、プラザキサ、エリキュース、イグザレルト、リクシアナなどの抗血栓薬(血液サラサラの薬)と一緒にアスピリンを飲むと出血するリスクが高くなります。

 

5-2.「NSAIDsやステロイドなどの抗炎症薬との飲み合わせ」

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)やステロイドには、胃腸障害の副作用があります。アスピリンにももちろん、胃腸障害の副作用があります。

したがって、NSAIDsやステロイドを服用している人がアスピリンを併用すると、胃腸障害のリスクが高まり、胃潰瘍などを引き起こす可能性があります。

 

5-3.飲み合わせは専門家に相談しよう

飲み合わせについて考えると怖くなって、必要な薬でも飲みたくなくなることがあると思います。しかし、自己判断でのアスピリンの中止によって、病気が進行してしまうなど更に困った状態を引き起こしかねません。

 

処方されたアスピリンは勝手に自己中断せず、必ず主治医・かかりつけ薬剤師に相談して判断を仰ぎましょう。

 

6.まとめ

アスピリンは古くからある薬ですが、現在も痛み止めや血栓症の予防など広く使われている薬だとお分かりいただけたのではないでしょうか?

 

薬には効果・副作用・飲み合わせなど、注意しなければならないポイントが多くあります。そして、薬の効果をしっかり引き出すためには、正しい薬と病気の理解が必要です。

 

使用する薬について、薬剤師・医師の説明をよく聞き、適切な服用方法を守って安全に薬を使用していきましょう。

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